「日常のコレオ」(東京都現代美術館)会場風景より、FAMEME《THORNITURE》(2025)展示風景 撮影:編集部
(A)「斉藤陽子× あそぶミュージアム」(鯖江市まなべの館)
(B)「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」(アーティゾン美術館)
(C)「開館30周年記念展 日常のコレオ」(東京都現代美術館)
(A)は、今年9月に逝去した斉藤陽子の日本で初めての個展。生誕地である福井県で開催された。1963年の渡米以来、海外を活動拠点としたため、国内よりも海外での評価が高い。本展は、斉藤の長い活動歴の回顧展であるとともに、福井時代の地域の作家からの影響関係も示そうとしていた。フルクサスへの参加、参加型アートの先駆者といった観点から重要で、今後、国内でも研究が進むことが望まれる。

(B)は、西洋と日本の近代美術を収集している印象の強いアーティゾン美術館が、オーストラリアのアボリジナル・アートを継続的に収集していることを示す展覧会であった。とくに、女性作家に焦点を絞った点も評価すべきである。工芸的な表現のみならず、イギリスがオーストラリアで行った核実験をテーマとするイワニ・スケースのガラス作品などもあり、多様な表現を見せていた。

(C)は、インドネシアやブラジルなど、非欧米圏の広範囲にわたる、キュレーターのリサーチ力にまず驚かされた。周縁化された人々に寄り添いながら、クローバル化された社会を批判的に問う作品が集められていた。

*年末特集「2025年回顧+2026年展望」は随時更新。
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