2025年11月開幕のおすすめ展覧会を全国からピックアップ。気になる展覧会はウェブ版でのログインやTABアプリでブックマークがおすすめ。アプリでは、開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
地球上では過去に5回の「大量絶滅」事変(通称「ビッグファイブ」)が発生し、短期間で75%以上の分類群が絶滅した。しかし大量絶滅は新たな生命の繁栄を促し、生命の多様性を増加させる現象でもあり、生命の世界を大きく変える新しい世界への原動力となった。本展は同館初となる「ビッグファイブ」をテーマにした特別展となり、化石や岩石に残された証拠からその謎をひもとき、地球生命の進化の歴史をたどる。ニュースはこちら。
会場:国立科学博物館
会期:11月1日〜2026年2月23日
約80年前、戦中・戦後の厳しい状況においても、美術家は子供たちを希望の象徴として描いた。いっぽうで、当時の子供は「少国民」として総力戦を支える一員でもあった。本展では、戦時中から終戦直後にかけて制作された子供を主題とする作品や、絵本、教科書、子供たち自身が描いた作品を紹介する。激動の時代に美術家たちが子供たちに向けていた眼差しを、時代背景とともに検証する。
会場:板橋区立美術館
会期:11月8日〜2026年1月12日
テレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』が1995年に放送開始してから、30年の節目となる本年。企画・脚本・総監督を庵野秀明が務めた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』も2021年に完結したこのタイミングで、ファン待望の展覧会がスタートする。本展では、これまでまとまって展示されることのなかったテレビアニメのセル画や、緻密に描かれた原画・設定など、作品の根幹にかかわる制作資料を多数展示。今回が初公開となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の資料も見ることができる。ニュースはこちら。
会場:六本木ヒルズ 東京シティビュー
会期:11月14日〜2026年1月12日
日本文学者・ドナルド・キーンは、10代でアーサー・ウエーリ訳『源氏物語』と角田柳作との出会いから日本文化への深い関心を抱き、長きにわたる研究生活を始めた。2011年、東日本大震災後に日本への帰化を表明したキーンの生涯は、まさに日本文化・日本文学とともにあった。開館30周年を迎える同館において、ドナルド・キーンの偉業とともに、あらためて日本文学の魅力を伝える。
会場:世田谷文学館
会期:11月15日〜2026年3月8日
東京都江戸東京博物館、東京都写真美術館、東京都現代美術館の所蔵品から、「刺繍」や「刺子」と呼ばれるような糸・針・布による造形物とそれに関連する資料を、時代ごとに4つの章に分けて紹介。今回特別に展示される明治末~昭和初期の学生たちが制作した「刺繍画」も見どころのひとつだ。
会場:東京都美術館
会期:11月18日〜2026年1月8日
情報が飛び交い価値観が大きく揺れ動く現代社会。いまだからこそ振り返りたいのが、デザインを通して多様な視座を示してくれた巨匠たちの軌跡だ。本展では、ブルーノ・ムナーリ、マックス・ビル、アキッレ・カスティリオーニ、オトル・アイヒャー、エンツォ・マーリ、ディーター・ラムスの6名を「デザインの先生」として特集。また、日本におけるデザイン学の礎を築いた向井周太郎の視点も紹介する。
会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:11月21日〜2026年3月8日
中世に大寺院として栄華を極めた根來寺(和歌山県)で生まれた「根来塗」。堅牢な下地に黒漆と朱漆を重ねた朱漆器は、その力強く、しなやかな姿で現代の国内外コレクターをも魅了し続けている。本展では、根來寺が繁栄を極めた中世の漆工品を中心に、年紀を有する品や伝来の確かな名品・名宝が一堂に会する。寺院や神社の信仰の場から民衆の生活まで、幅広く愛された根来塗の歴史を辿る貴重な機会となる。
会場:サントリー美術館
会期:11月22日〜2026年1月12日
日本近代洋画の改革期に活動した画家・小林徳三郎。若者たちが結成した前衛洋画家集団フュウザン会で活躍し、画業半ば頃からは春陽会を中心に作品の発表を続けた。鰯や鯵といった魚を数多く描いて評価を獲得し、やがて自分の子供たちをモデルにするようになり、風景、海などの題材を親しみやすく洒脱な作品に描き上げた。本展では、小林が描いた日常的な光景を紹介するほか、彼をとりまく美術動向にもフォーカスする。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:11月22日〜2026年1月18日
室町時代に観阿弥・世阿弥の父子によって大成された能は、江戸時代には幕府の式楽となって栄え、武士が身につける教養のひとつにもなった。本展では、春翠と大西の交流を通して形成された住友家の貴重な能コレクションを紹介。茶の湯とも深く結びついた、近代財閥家における能楽文化の一端を垣間見ることができる。
会場:泉屋博古館東京
会期:11月22日〜2025年12月21日
2025年に創設30周年を迎えたファッション・テキスタイルブランド、ミナ ペルホネン。展覧会タイトルの“つぐ”という言葉は、水面に起こる波紋のようなイメージだという。創設者でデザイナーの皆川明が落としたミナ ペルホネンの活動という一雫は、共鳴する人々をつなぎ、手技を生み、新たなクリエイションへとその波紋を広げてきた。本展ではそんなミナ ペルホネンのものづくりに通じる様々な"つぐ"のかたちを紹介する。詳細はニュースをチェック。
会場:世田谷美術館
会期:11月22日〜2026年2月1日
1960年代以降、商業主義のただ中でアイロニカルなインテリアデザインで時代を批判した倉俣史朗。小松誠は1975年、代表作《クリンクル》磁器シリーズで紙製ショッピングバッグをパロディー化し、高度経済成長期の世相を映し出した。そして宇宙都市を彷彿させる建築で人間と自然、社会の共生を示し続ける髙﨑正治。本展は3人の仕事を核に、ポスト・モダンのデザイン・建築が21世紀に如何に有効か、所蔵品を中心に問いかける。
会場:武蔵野美術大学 美術館・図書館
会期:11月24日〜12月21日
北海道に生まれ、暮らし、またはひとときこの土地で過ごした経験のある5組のアーティストによる現代美術展。彼らが眼前の風景や自然現象を鋭敏に知覚し、絵画、彫刻、写真、映像、音響などそれぞれの手法で表現した作品を通して、世界への新たな視点を提示する。
会場:札幌芸術の森美術館
会期:11月15日〜12月21日
金魚に魅せられ創作を続ける美術作家・深堀隆介。透明樹脂にアクリル絵の具で何層にも重ねて描く「2.5Dペインティング」と称される斬新な技法により、まるで目の前に水があり、美しい金魚が泳いでいるかのような立体感を創出する。水面の揺らぎの中にあるのは虚か実か。幻影と物質の同居というリアリズムにおける根源的な命題を提示する。
会場:青森県立美術館
会期:11月15日〜2026年1月18日
新潟県西蒲原郡巻町(現・新潟市西蒲区)出身の田畑あきら子。わずか29年という短い生涯のなかで残されたのは、10点に満たない油彩画だった。有機的な線や形態が描かれた画面に白い絵の具が塗り重ねられ、独特の浮遊感をたたえる作品群は、見る者に深い印象を残す。本展では代表作とされる一連の油彩画とともに、200点を超える素描を展示。田畑が描きとめた儚くも美しいイメージの世界を探求できる貴重な機会となる。
会場:新潟県立万代島美術館
会期:11月22日〜2026年1月12日
2023年に開催された「テオ・ヤンセン展」に続くオランダとの文化交流として開催される展覧会。抽象的な構図、反射、影の使い方、独特のフレーミングを特徴とするストリートフォトで注目を集める、オランダの新進気鋭写真家サラ・ファン・ライとダヴィット・ファン・デル・レーウの作品を日本で初めて紹介する。あわせて千葉を拠点に活動する写真家・小説家の清水裕貴のアプローチを通して、千葉ゆかりの古写真コレクションや同館の絵画コレクションも展示。
会場:千葉県立美術館
会期:11月15日〜2026年1月18日
2022年末に逝去した建築家・磯崎新の没後、国内初となる大規模回顧展。磯崎は建築プロジェクトや都市計画にとどまらず、著作活動、芸術家とのコラボレーション、キュレトリアル・ワークまで、60年以上にわたって幅広い活動を展開した。「群島としての建築」と題した本展では、単一の領域にとどまらない磯崎の軌跡を「群島」のように構成。自身が設計した同館を舞台に、建築の枠を超えた磯崎の活動を俯瞰的に紹介する。
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
会期:11月1日〜2026年1月25日
若江漢字は、1970年代のドイツ滞在を機にヨーゼフ・ボイスの芸術に共鳴し、彼と交流するなかで、ボイス作品をはじめとする現代美術の収集と展示など、自らの創作活動と並行して芸術と社会を結ぶ行為を続けてきた。本展では初公開となる記録写真と並行してふたりの造形作品を展示し、両者の共通項と独自性を考察する。神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で「川口起美雄 Thousands are Sailing」(11月1日〜2026年2月1日)も開催中。
会場:神奈川県立近代美術館 葉山
会期:11月15日〜2026年2月23日
長野県須坂市出身の北島敬三は、1975年に東松照明、荒木経惟、深瀬昌久らが講師を務めた「WORKSHOP写真学校」への参加をきっかけに本格的に写真を始めた。本展では、北島のキャリアのなかで2度、象徴的に現れるフレーズ「借りた場所、借りた時間」を手がかりに、写真家自身の手によるニュープリントや、重要な作品発表の場として機能した雑誌や写真集などの資料を通じて、その50年にわたる仕事の読み返しを試みる。
会場:長野県立美術館
会期:11月29日〜2026年1月18日
日本やオリエントとの邂逅をひとつの契機として西欧で発展したアール・ヌーヴォー、アール・デコ様式は、20世紀初頭に進取のモードとして貪欲に取り入れられ、大正ロマンや昭和モダンといった独自のモードを生み出した。本展は、現代デザインの礎と言える、大正から昭和にかけてのデザイン実践を紹介。アール・ヌーヴォー、アール・デコのエッセンスを日本固有の感性と融合させた工芸からファッションまで、時代を鮮やかに彩った"ロマンティック・モダン"の諸相を明らかにする。
会場:岐阜県美術館
会期:11月15日〜2026年2月15日
美術家・田部光子が1961年に記した「大衆のエネルギーを受け止められるだけのプラカードを作」り、その「たった一枚のプラカードの誕生によって」社会を変える可能性を語った文章から着想を得た展覧会。同年発表の作品《プラカード》に結実した、過酷な現実や社会に対する抵抗の意思と希望を出発点とする。田部光子、牛島智子、志賀理江子、金川晋吾、谷澤紗和子、飯山由貴、笹岡由梨子の7名の作家が、それぞれの生活に根ざしながら生きることと尊厳について考察してきた作品で構成。社会に覆い隠されてきた経験や心情に目を凝らし、既存の制度や構造に問いを投げかける。
会場:国立国際美術館
会期:11月1日〜2026年2月15日