公開日:2026年4月20日

箱根・彫刻の森美術館が草間彌生《われは南瓜》を新収蔵。初石彫作品を箱根の自然のなかで公開

国内で見れる唯一の草間彌生の石彫作品。赤と白のバルーンによるインスタレーション《南瓜》も11月1日まで限定公開

草間彌生 われは南瓜 2013 © YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts

草間彌生の初石彫作品を公開

箱根の彫刻の森美術館は、新収蔵作品として草間彌生の初彫刻作品《われは南瓜》(2013)を屋外展示エリアに設置した。本作はこれまで東京・丸の内の「丸の内ストリートギャラリー」にて2025年まで展示されていたもので、同館が収蔵する初の草間作品となる。現在、国内で草間の石彫作品を鑑賞できるのは同館のみである。

草間彌生 われは南瓜 2013 © YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts

《われは南瓜》は、草間が1962年にニューヨークで発表した布製の「ソフト・スカルプチャー(柔らかい彫刻)」以降、多様な素材による立体制作を続けてきたなかで、初めて石を用いて手がけた作品である。石の土台の上に黒い南瓜が据えられ、その周囲にはドット模様のカラフルなモザイクタイルが広がる。重厚な黒の色調を帯びながらも、草間ならではの南瓜の愛らしさと柔らかさを失わないフォルムが印象的だ。南瓜は草間にとって作家の分身とも言えるモチーフであり、戦争と平和への思い、そして「愛はとこしえ(永遠)」のメッセージが託されている。

草間彌生 われは南瓜 2013 © YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts

トラフ建築設計事務所によるランドスケープ

展示エリアおよび新設のベンチエリアのランドスケープデザインは、同館の「森の足湯」「丸太広場 キトキ」を手がけたトラフ建築設計事務所が担当。作品を囲むカラフルなモザイクタイルの外側には、ニュートラルな印象の天然石が敷き詰められ、石由来の自然なラインを活かしたペーブメントが、360度から作品に接近できる空間を形成している。車椅子などでの鑑賞にも配慮した設計である。

草間彌生 われは南瓜 2013 © YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
草間彌生 われは南瓜 2013 © YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts

期間限定のインスタレーションも登場

関連企画として、隣接するThe Hakone Open-Air Museum Caféおよび「丸太広場 キトキ」では、赤と白のバルーンによる《南瓜》(2017)のインスタレーションも期間限定で展開する。石彫作品と同じく南瓜をモチーフとしたバルーンを中心に、草間作品の重要なモチーフであるドットが空間を覆う構成となっており、会期は4月19日から11月1日まで。

草間彌生 南瓜 2017 © YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
The Hakone Open-Air Museum Café

さらに、2013年制作当時の草間のインタビュー動画も公開される。初の石彫作品に込めた思いや、野外彫刻を通じた「自然とアート」をめぐる草間の言葉が収められた映像で、貧しさや苦しみを精神的に淘汰した先に広がる「永久に変わることのない、たおやかな静かな世界」への思いが語られている。

新設のベンチエリア

新設されたベンチエリアでは、木漏れ日とそよ風のなか、ゆっくりと作品に向き合うことができる。起伏を生かしつつ他エリアからの視界を遮らない配置により、空間にほどよいリズムを与えている。《われは南瓜》とベンチの周囲には同館のあらゆる場所に見られる植物が植え込まれ、季節の変化とともに、都市空間から箱根の四季の自然へと展示の場を移した作品の新たな表情を楽しむことができる。

彫刻の森美術館の常設展示

灰咲光那(編集部)

灰咲光那(編集部)

はいさき・ありな 「Tokyo Art Beat」編集部。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。研究分野はアートベース・リサーチ、パフォーマティブ社会学、映像社会学。