公開日:2026年1月20日

「ジャッド | マーファ展」がワタリウム美術館で開催へ。ミニマル・アートの巨匠ドナルド・ジャッドの創作の拠点に注目する

会期は2月15日〜6月7日。初期の絵画作品や立体作品に加え、ジャッドがマーファに残した空間について様々な資料を通して紹介する。

15点の無題の作品 1980–1984 コンクリート チナティ財団 テキサス州マーファ  Permanent collection, The Chinati Foundation, Marfa, Texas Photo:Florian Holzherr Courtesy of The Chinati Foundation, Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo.

ワタリウム美術館、次回展はドナルド・ジャッドの回顧展

東京・外苑前に位置するワタリウム美術館では、20世紀を代表する現代アーティスト、ドナルド・ジャッドの回顧展である「ジャッド | マーファ展」が開催される。会期は2月15日〜6月7日。

本展は、ミニマリズムの代表的な作家として語られてきたジャッドの作家活動を、彼が1970年代以降に拠点としたテキサス州マーファという場所に注目しながら、改めてとらえ直す展覧会。1950年代に制作された初期の絵画作品、1960~90年代の立体作品に加え、ジャッドがマーファに残した空間について、ドローイング、図面、映像、資料を通して紹介する。

ドナルド・ジャッド、マンサナ・デ・チナティの中庭にて、自作《デイヴ・シャックマンに》(1964)とともに 1975年撮影 Photo:Jamie Dearing © Judd Foundation. Jamie Dearing Papers, Judd Foundation Archives, Marfa, Texas. Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo.

ジャッドは1970年代にニューヨークを離れ、メキシコ国境にもほど近いテキサス州西部の町マーファへと移り住んだ。彼は町に残る軍施設や倉庫、住宅などの既存建築を、生活と制作の場として改修し、さらに自身の作品に加え、ダン・フレイヴィン、ジョン・チェンバレン、イリヤ・カバコフらの作品を恒久的に展示するための施設として、チナティ財団を設立する。ジャッドが追求し続けたそれぞれの空間は、半世紀を経た現在も、彼の意図を保ったままマーファにあり続けている。

貴重な初期の絵画作品、立体作品が集結

本展では、抽象表現主義や同世代の作家たちの影響が色濃く見られる初期の絵画作品から、1960年代半ば~1970年代にかけて制作された立体作品まで、ジャッドの作家業の変遷を辿る幅広い作品群が展示される。なかでも注目したいのは、日本初公開となる初期の絵画作品や、10個のユニットが垂直方向に等間隔で設置される「スタック」と呼ばれる立体作品(1990年代の作例)だ。

無題 1955年 キャンバスに油彩 ジャッド財団蔵 Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS,NY/JASPAR, Tokyo.

また、同館の創設者・和多利志津子が1978年にジャッドを日本に招聘し開催した「ジャッド展」に関するドキュメント展示も見どころのひとつ。同展は、ワタリウム美術館の前身であるギャルリー・ワタリにおいて開催され、ジャッドが初めて日本を訪れる契機となった重要な展覧会である。今回は、当時の資料やカタログに加え、その際にワタリウム美術館に収蔵された作品やドローイングも一堂に会する。

「土地との調和」を目指したマーファでの活動

ジャッドが初めてマーファを訪れたのは1971年のこと。ニューヨークでは実現が困難であった大型作品を制作するために同地を訪れたジャッドは、「作品にとって作品を取り囲む空間は決定的に重要である」という信念のもと、町中の既存の建物を自身の生活と制作のためのスペースへと作り変えていった。

無題  1991  陽極処理したアルミニウム、黄色に透明な琥珀色のプレキシグラス ジャッド財団蔵 Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo.

マーファにある建物には、ジャッドの作品や家具に加え、ほかのアーティストの作品やデザイナーの家具も設置されており、ジャッドのアートと建築の関係性への関心がうかがえる。既存の構造物への応答、アメリカ南西部の土着的な建築要素、そして土地がもつ歴史的コンテキストへの敬意をもって、ジャッドは空間、プロポーション、素材に関する思考を作品として展開させていった。会場では、こうした空間に対するジャッドの哲学と実践が様々な資料を通じて紹介される。

ウェルフェア・アイランド 1956 油彩・キャンバス ジャッド財団蔵 Donald Judd Art © 2026 Judd Foundation/ARS, NY/JASPAR, Tokyo.

本展は、展示を「その場限りのパフォーマンスに終わらせてはならない」という、アートと展示の完全性に対するジャッドの信念を確認できるような機会となりそうだ。

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