森村泰昌 エゴ・シンポシオン 2017 作家蔵 (特別出品)
東京都現代美術館では、「開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト 中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー」展が開催される。会期は12月25日から2026年4月2日まで。

本展は戦後から現代まで約6000点を擁する同館コレクションから、新収蔵作品を軸としたふたつの展示構成で、現代美術における自己表現と身体性の多様な展開を提示する。参加作家には、池内晶子、開発好明、郭徳俊、豊嶋康子、中西夏之、松井えり菜、南川史門、ミヤギフトシ、森村泰昌、ユアサエボシ、横山裕一、アンディ・ウォーホルらが名を連ねる。

1階の「マルチプル_セルフ・ポートレイト」では、誰もが知る名画や歴史、日常生活を介して描き出される複数の自己をめぐるイメージを多角的に展覧する。中心となるのは収蔵作家の森村泰昌をはじめ、架空の画家に擬態して制作するユアサエボシ、変顔などの自画像をコミュニケーションツールととらえて描く松井えり菜の3名。これらの作品は借用作品も交えて特別に構成される。なお、ユアサエボシ、松井えり菜による新収蔵作品が初公開となる。


いっぽう、3階の「中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー」では、ふたりの作家の作品世界に焦点を当てる。同館で初の日本人作家として個展を開催した中西と、絹糸を用いたインスタレーションで知られる池内は、ともに「いまここ」にある自身の身体を起点としつつ、その外側に広がる世界を示唆する作品を手がけてきた。新収蔵作品に加えて池内による現地制作も予定されており、両作家の響き合いを通じて、物理的存在と概念的拡がりの境界を探る空間体験が提供される。


30周年という節目において、同館はコレクションを通じた現代美術の継続的な問いかけを提示し、過去と現在、個人と普遍をつなぐ新たな対話の場を創出している。同時開催の「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」(12月25日〜2026年4月2日)、「Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展『湿地』」(12月25日〜2026年3月29日)、「ミッション∞インフィニティ」(2026年1月31日〜5月6日)と合わせて訪れたい。
