「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」ミュージアムゲート イメージ
重要文化財「旧奈良監獄」を再利用した施設「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」が4月27日に開館する。2月27日11:00より、公式サイトにてチケットの予約受付を開始。また、開館30日前の3月28日からは、公式サイトにて、プロジェクトに関わりのある30組が日替わりで登場する特別企画「美しき監獄と30人」をスタートする。

ミュージアムコンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」。「旧奈良監獄」という歴史的建造物の保存と、その建築美や歴史的価値を未来へと継承していくための拠点となることを目指す。
館内は、改修を行わず遺構として残されている「第三寮」を見学できる保存エリア、A棟「歴史と建築」、B棟「規律とくらし」、C棟「監獄とアート」のそれぞれテーマが設定された展示エリアに分類され、歴史展示にとどまらない、来館者が自ら思考を深める契機を提供する場となる。


コンセプトを具現化する核心のひとつである展示エリア「C棟」では、美術編集者・評論家の楠見清をキュレーターに迎え、5組のアーティスト刑務所の現実に向き合って制作した作品が展示される。当時の質感を活かしつつ、洗練された現代のギャラリーへと改装され、「罪と罰」「時間と記憶」「孤独と言葉」といったテーマが空間を満たす。
参加アーティストに西尾美也、キュンチョメ、三田村光土里、風間サチコ、花輪和一が名を連ねる。

また、2023年に設立された「Prison Arts Connections」(略称:PAC)によるアート・プロジェクトも実施される。刑務所の内と外、被害と加害を越えた対話と回復、創造の契機を生み出し続けることを目的に、刑務所という環境で生み出された芸術表現の数々を展示する。
星野リゾート初のミュージアム事業の展開にあたり、アートディレクターの佐藤卓、各国での美術館の常設展示デザインを手がけるアドリアン・ガルデールが監修およびアートディレクションを担う。「旅を楽しくする」がテーマの星野リゾートとクリエイターそれぞれの専門性を活かし、唯一無二のミュージアムが誕生する。


また併設されるカフェ&ショップでは、明治時代の洋食文化を反映したオリジナルのカレーパンやチーズケーキ、ご当地ソーダを提供。オリジナルグッズのほか、全国の刑務所で作られた刑務所作業製品も販売する。

さらに、6月25日には旧奈良監獄の同地内にラグジュアリーホテル「星のや奈良監獄」が開業。「明けの重要文化財」をコンセプトに、赤レンガの壁や旧監獄を象徴する放射状の舎房など歴史的な意匠は残しつつ、現代的なデザインを取り入れた空間へと生まれ変わる。
不平等条約解消と司法の近代化を目指す国の一大プロジェクトとして1908年(明治41年)に建設された旧奈良監獄。明治政府によって計画された五大監獄のうち、唯一全貌が残る貴重な建築物である。設計者は、裁判所や監獄の建設に数多くの関わりのある山下啓次郎。看守所を中心に複数の棟が放射状に伸びる「ハヴィランド・システム」を採用したレンガ建築で、日本の近代監獄を象徴する建物として知られる。


1946年(昭和21年)には「奈良少年刑務所」に改名。社会復帰と更生教育を目指す矯正施設として貢献した。100年以上に渡り、その役割を全うした旧奈良監獄は、歴史的価値が高く意匠的にも優れた近代建築であるとして、2017年(平成29年)に重要文化財に指定されている。
明治の記憶を宿す赤レンガの監獄が、どのような姿で生まれ変わるのか。4月の開館を楽しみに待ちたい。