ルーシー・リー 青釉鉢 1980頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野塁
東京都庭園美術館の2026年度に開催される展覧会スケジュールの第1弾が公開された。
現在同館では「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ」が2026年1月18日まで開催中。本展に続く注目のラインアップを紹介する。
20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー(1902〜1995)の作品を、彼女と交流のあった作家たちの作品とあわせて紹介する展覧会が開催される。国立工芸館(金沢)に寄託された井内コレクションをはじめとして、国内のルーシー・リー作品が一堂に会す貴重な機会となる。

オーストリアのウィーンで生まれたルーシー・リーは、ウィーン工芸美術学校で轆轤(ろくろ)を用いた制作に魅了され、陶芸の道へと進んだ。作家としての地位を確立しながらも、1938年に戦争で亡命を余儀なくされると、作陶の場をイギリスのロンドンへ移す。ろくろから生み出される優雅なフォルム、象嵌や掻き落とし技法による独創的な文様、釉薬によって生み出される豊かな色彩など、彼女の作品がもつ繊細さと凛とした佇まいは、多くの人々を魅了し続けている。

本展では、ウィーンで出会ったヨーゼフ・ホフマンや、ロンドン時代に知り合ったバーナード・リーチ、ハンス・コパーなど、リーと交流のあった作家たちの作品をあわせて展示し、日本を中心とした東洋のやきものとの関係性も見直す。

国内では約10年ぶりとなる回顧展であり、先駆けて金沢の国立工芸館では、11月24日まで「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」が開催中。本展のレポートはこちら。
フィンランドを代表するデザイン・ブランド、マリメッコ。その貴重なヴィンテージ・ドレスやファブリック、制作過程のイメージなど、多彩な資料を通してマリメッコの創造の美学を明らかにする展覧会が開催。
1951年の創業以来、世に送りだされたプリント・デザインは3500種類以上にのぼる。鮮やかな色彩と大胆な模様によって、私たちの生活を豊かに彩り、世代や国境を超えて広く支持されてきたデザインの魅力に迫る。
様々な苦難の歴史を歩んできたリトアニアだが、人々は恵まれた自然を崇拝し、穏やかな暮らしを営んできた。自然素材を活かした手作りの品々はシンプルで、自然や命への感謝や祈りが込められている。近代工業を駆使したアール・デコの装飾空間の中で、素朴な手工品は何を語るのか。その対比に注目したい。